みんぱく スイカで踊るクジラ
公開日時:2025-02-07 09:11:22
大きなツヤのある真ん中のスイカを一つまっすぐに持ち上げ上空に浮かべた。
>勢いよく広がりを見せる熱量のような気体がスイカを取り巻き、そのまわりにはすでに存在していたようだ。
>そうしてスイカが輝き出したのは、海の向こう側にいる彼の気配を突き刺したかのようだった。
>何やらの奇妙なことが起ころうとしているような気がした。
>スイカの中から徐々に聞こえたのは、「うぅー…うぅー…」という生命感溢れる声だった。
>突然明るくなる太陽の下に現れたのは、海の最深部からの生き物だった。
>スイカのお尻にしがみついた彼、周りの人々の驚きと歓声に乗じ海を翔けるように上空に舞い上がった。
>スイカ、それはクジラの舞台だった。
>舞台の真ん中に現れたのは、その生かされた生き物だった。
>それは、体全体が激しい色と光線で飾られ、回遊魚のように水を激しく尻尾を振る姿で、舞台の上でスイカを踊っていた。
>鱗片が輝きながら、その姿から生まれ出した音楽を他のクジラも受け止め、水のなかへと浸かっていった。
>その踊り子となっていたのは、古くから海を撫でるクジラである。
>クジラたちの舞台である海は、彼らの影響を受けて明るくなり、どんどんと他のクジラたちをも魅了していくのだ。
>そうして、海の中では多くのクジラがスイカを踊る舞台を楽しんでいた。
>その踊りは、いつまでも続いていくと思われたが、しばらくしてスイカは再び上空に浮かんでいた。
>スイカを踊っていたクジラも、その中で消え入りそうな様子だった。
>スイカは太陽の光を受け、シャワシャワとした舞台を今日も続けていた。
>今日もクジラたちは、涙を拭いて笑顔を見せる。
>「みんぱく スイカで踊るクジラ」。
>その舞台に是非とも一度立ち会いたいものである。
>こうして踊り子のクジラと共に海を走る。
>大きな太陽の灼きつける暑さを、波のしずくで滑らかに受ける。
>私たちも海を渡って、歓声とともに歩める時が来るだろう。
>いつかすべてが平和な洋になる時まで、みんぱく スイカで踊るクジラが夢の中に羽ばたくモノでありましょう。
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